今回は「近所のゴミを拾って、リサイクル店に売って給料日まで生き延びた話」をご紹介いたします。(ちなみにごみ漁りをする人のことを、「ダストハンター」と呼ぶそうです)
数年前のある晩の仕事帰り、私はとてつもない悩みを抱えていました。もう給料日までの生活費が底をつきかけていて、ひとり途方にくれていたのです。
幸い定期券があるので、仕事へは休まずいけますが、財布には数百円しかないため、晩御飯を買うともう終わりの始まりの状態です。
親しい友人に援助をお願いしますが、もう数日早くいってくれれば貸せたと断られてしまいます。本当にていの良い断り文句です。
そんな時、駅からトボトボ歩く私の目に飛び込んできたのが、近所のゴミ捨て場に捨てられていた白いサーキュレーター(扇風機に似た室内の空気を巡回させる機械)です。とっさに「これを拾って明日の朝にリサイクルショップに売ろう」と再生のための臨時プランが立てられました。
周囲を警戒し、素早くカバンに詰め込むと、足早に立ち去ります。カバンのチャックが閉まらないほどの大きさでしたが、周りは暗く目立ちません。
部屋に帰るなり電源をさして、本体と、リモコンに電池を入れて動く事を確認します。洗濯前のタオルを少しだけ水に濡らし、念のため汚れを取る頃には、私のリバイバルプランは完全にスタートしました。
次の獲物(ゴミ)の調達へ
押入れの中から黒く大きな旅行カバンを引っ張り出し、他の獲物も捕まえにいくことが決定されました。ただ、まだ時間帯が早いため、取り急ぎネットで買取実施のリサイクルショップを探します。
1番近所のリサイクルショップは徒歩で行けますが、少しでも離れた所に売りに行きたいとも考えてしまいます。
0時を過ぎた頃、自転車にカバンを入れて、まずはコンビニでタバコを買い、近所のゴミ捨て場を探して深夜徘徊はスタートいたします。
なかなか丁度良いゴミは見つけられませんが、それでも何箇所かにいっぺんは、「念のために持っていくか」と思える物が捨てられています。
本は古本屋に、家電類はリサイクルショップに売ると決めて、真夜中までグルグルと近所を廻るのです。
粗大ゴミが捨てられるのは、数週間に一度、今日しかないというモチベーションが私を動かすのです。
粗大ゴミの日が定まっていない地域もある
実は後から知りましたが、粗大ゴミの日というのは、私の住んでいた地域では設定されていませんでした。
一般ゴミ、缶・ビン、プラゴミの日は複数回あり、段ボール、雑誌、被服が捨てられる日というのは月一での設定しかなく、粗大ゴミは役所にお願いして、購入したシールを貼って引取りに来てもらうシステムのようです。
しかし、そんな事を知らない私は、「無断で捨てられている粗大ゴミ」をひたすら探していたのです。もしも余裕があれば軽トラで行動したいところですが、私は車を持っていませんでした。
真夜中になった頃には自宅へ戻り、今度は1つひとつ動作チェックや簡単な清掃を行います。持ち去るか、置いておくかの判断は、大きさと汚れ具合から緩く設定していました。いったん持ち去るが途中で気が変わり、次のゴミ捨て場で捨てたりもしました。
深夜になり、いいかげん疲れてきた私は、今夜のハンティングはここまでにしようと思い、コンビニで夜食の100円ウィンナーを買って自宅で焼いて食べます。もう残金は100円を切っていたと記憶しています。
自宅へ戻ると、小さなラジオ、テレビのリモコン、置き時計、受話器、被服類などが玄関に置かれたわけです。被服類は洗濯機にかけてまずは洗濯をします。
その後、朝1番で会社へ連絡し、家庭の都合で実家へ急遽行かなくてはいけなくなったと嘘をつき、休みを貰った私は、数時間の仮眠をとることにしました。
手に入れたお宝をリサイクルショップに売りに行く
起床後にいよいよ買取店に向かいます。サーキュレーターや小さなラジオなどの電化製品はリサイクルショップに、被服類は古着屋に持って行きました。
リサイクルショップの買取結果としは1200円程度、覚えている限りでは、サーキュレーターと受話器がともに350円だったと思います。お金を受け取って自宅へ戻り、今度は旅行カバンに詰めた被服類を持っていきます。
全然サイズも違うシャツやチノパンなどを買取にまわし、女性物や子供用などは捨てます。合わせて自分の服で要らないものもいっしょに持っていきます。
査定では散々待たされて、欲しくもない店頭の服を何度も手に取り時間を潰す。査定の結果としては、1番安いもので1円、1番高いもので200円程度、合計で800円だったかと。
何とか一晩で約2000円近くのお金を作り、給料日まで持ちこたえました。その後も、ゴミ捨て場の近くを通るたび、捨てられているゴミを見るという癖がつき、その後も3回程実施しましたが、お金に余裕が出始めたのを折りに辞めることとなります。
この体験で学んだことは、複数あります。
- どうしても困った時以外には、全くやりたくない。それはゴミ処理業者をバカにした意味ではなく、持ち去る時の、もしも見られていたらどうしようというドキドキ感が嫌だからです。辞めた理由はコチラです
- 家電を無断で捨てている人は多いが、どれも価値の低そうな物が多いという当たり前のこと
- 古いスーツケース、湯のみ、古いタンスなどはよく見かける
- 被服のゴミの日は、透明袋にまとめて捨てられていることが多く、子供服や大人用ではワイシャツが多い
- 書籍類は紐で結ばれており運びやすいが、週刊誌や参考書が多い。ちなみに本の買取は値段が付かないことが多いので、1度しか持って行かなかった
- シール付きの粗大ゴミは、申込みをして運んでもらうため、バレるリスクが高いと思うので、手を出さない方が良い
- スマートフォンのアプリには、ゴミ収集日前日に通知をしてくれるアプリがある
以上が、私が数年前に体験したゴミ収集で生き延びるための買取プランてす。
ちなみに、買取時には身分証明書が必要となりますが、なかにはホテルや旅館の宿泊名簿みたいな紙に記入するだけの店もありました。
皆さんも要らないものがあれば買取店へ!