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お金に目がくらんで起こった事件

歯科医院で起こった横領事件の全貌! レジの中の7万円がない!!

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こんにちは。会社に入社するたびに、「こんなことはあり得ない!」という金銭トラブルにめぐり合ってきたレイナです。

皆さんも、職場で「この人の金銭感覚は何かおかしいな」と感じたことがあるかもしれません。ただ、それはブランドへの依存だったり、神経質なほどのケチだったりと少なくとも個人的な問題が多いと思います。

彼ら、彼女らを回避する方法はひとつ。金銭感覚が合わないと思ったら、距離を置くこと。

問題は、直接的に金銭トラブルを抱えているように見えない人間をどう回避すればいいのかということではないでしょうか。今回は意外とすぐ近くに潜む彼らに遭遇した私の体験談をご紹介します。

 

1 ブラックな歯科医院に入ってきた新入社員のN

営業は向かないと退職した私が次に入社したのは、実家から近くにある歯科医院でした。未経験の上に給与も安かったけれど、会社に通うということに疲れ果てていた私が、とりあえず働いているという満足感を得るためだけに応募した職場でした。

しかしそこはとにかくブラック企業と呼ぶに等しい医院で、雇用保険や労災保険は一切無視。

歯科助手の幅を超えた仕事内容に、雇われて1カ月もしないうちにどんどん人が辞めるため、常に人手不足という場所でした。衛生環境や院長の態度もひどかったのですが、ここでは内容がそれるので控えます。

Nがやってきたのは、私が勤めて2年が過ぎた頃でした。経験者として応募のあったNは貴重な存在として即採用が決定しました。

とりあえず雇ってみて、出来ない奴や嫌な奴なら辞めさせればいい、そんな安易な採用方法がすべての始まりだったのでしょう。

以前は車で15分ほどの距離の別の医院に正社員として勤めていたNでしたが、前の職場の退職理由を「変なパートのおばさんがいたから」と言っていました。パワーストーンにはまっている女が、無理やり石を売りつけるというのです。

その時は、「へー、嫌な職場だったね」で終わりました。そんな職場に迷惑をかける女がいたら、解雇されるのは相手ではないかという考えもよぎりましたが、それだけ嫌気が差したのだろうと同情しました。

 

2 評判は良くなかったが、シフトがかぶり次第に仲良くなったN

歯科医院の勤務時間は朝の8時半から12時までの早番と15時から20時までの遅番がシフト制で回っていました。

特に午前中はパートさんの勤務が多く、私とNは交互に午前と午後を回っていたのですが、午後はNと二人だけになることが常でした。なぜなら、Nは私以外の誰とも上手く仕事ができなかったのです。

今思えば、不自然な話です。私と一緒に入っていると、素直に言うことを聞き、教えたことを守り、時には笑い合うこともありました。次第によきパートナーだと思えるようになったほどです。

でも他のパートさんから聞く話は、「反抗された、言い返された!」ということばかり。なぜNが私に従順だったのかといえば、簡単に騙せそうだとカモにされたのかもしれません。

医師は患者のいない時間を二階の自室で過ごすため、私達は診療室内を掃除したり、次の診療の準備をしたりして過ごします。

あまりにも手が空くと、椅子に座ってゆっくりしゃべることもありましたが、それは医師も承知のことでした。なにより医師が願うのは、誰ともうまくできない彼女とちゃんと接してくれということだけでした。

私達は助手をしながら受付、会計、電話など全てをオールマイティにこなさなければならず、相手の動きを信頼するしかありません。余裕がないのです。

その上、20時に診療が終わったあとは医師が早々に帰りたがるため片付けを迅速に行わなければなりません。

器具の洗浄はもちろん、印象という削った歯を象った石工作り、売上の計算などなど。先に済ませてしまえることは、できるだけ早目に片付けるようにしていました。

そして最大の原因はレジの閉め方で、考えられないほど緩いものだったのです。

 

3 ある日、売上金が足りない!

発覚は突然でした。ある晩、いつものように診療が長引き20時を回ってしまった私達は、出来る限り迅速に片付けをしていました。なぜ、長引いたのか。それは2つの原因があります。

1つは、自費で高額な差し歯を作る人がいたこと。そして、その人の型取りにとても戸惑ったからでした。

型どりをするには口腔内に専用の凝固剤を全体的に入れる必要があり、粘つく上に、大きな器具で口の中がうまるため、反射的にえづいてしまう人は多いです。

また、本当に吐いてしまう人もいるくらいなので、特に精密な型が必要なこともあり時間をかけました。Nが助手についていたため、私が会計をすまし(その人の売上だけで15万以上かかり、プラス午後の売り上げが数万円ありました)、石膏をつぎに二階へ走ります。

しばらくすると、医師も着替えのため二階に上がってきました。午前中に大きな売り上げがあると、昼休みと同時に医師にお金を預けるのですが、終盤の患者である場合はそこまで厳密に管理もしていませんでした。

帰る時に、医師が軽く確認をしてから財布に売り上げを入れることも私達は知っていたからです。二階の掃除も終えて、下の診療室に戻るとNはすべての片付けを終えて、待合室のソファで携帯をいじっています。私もそこに並んで本棚から一冊の漫画を取り出しページを開きます。いつもの光景です。

医師が着替えを済ませ、降りてきました。突然発せられた「足りないぞ」という一言は、すぐにお金のことだとは気づきませんでした。売上金がないのだと悟り、次に耳を疑ったのです。そんなはずはありません。たった一時間前に最後の大きな売り上げを含めて私が計算をした時には、全額が合致していました。

たとえその後の会計で動いていても、数千円か小銭単位です。「7万円足らない」という言葉に驚愕しました。計算間違いか、とも一瞬思いましたが、あり得ません。

私が放った言葉は、「まさか患者さんに盗られたのでは?」でした。しかし、「どこかに挟まっていないか、確認してみろ。俺は上で待っているから」そう言った医師は、まるで怒る素振りもなく淡々と二階に上がっていきます。

私の頭に浮かぶ数々の疑問。レジに鍵はかかっていないため、引き出しを開けるだけでお金を取ることは可能です。ただ、医師と少なくとも助手一人の目を盗んで受付に入ってまで、お金を盗む患者はいるのでしょうか。

受付のテーブルから身を乗り出し、机の上にある予約票の内容を指差す患者もいます。

頑張れば、引き出しのお金に手が届く……いや、無理でしょう。そんなことをぐるぐる考えながら、患者のカルテや予約票、引きだし、思いつく限りの場所をひっくり返しますが、見つかりません。

「こんなことって、あるんですね。怖い。手が震えます」と、Nが涙目で私に訴えます。私は、それまで動揺していた気持ちが彼女の顔を見てすっと落ち着くのが分かりました。私がしっかりしなきゃ、と。

「大丈夫だよ。絶対」そう私が告げた時、二階からの内線電話が私の手元で鳴りました。「ちょっと適当に理由をつけて上にきて」医師はそれだけ言うと、内線をすぐに切りました。

 

4 事件発覚

二階に行った私を、医師は廊下で待っていました。「あったか?」「ないです」。ただ、その回答が当然と言うように、医師は私に小声で告げる。

「多分あいつだ。さっき、あいつ片付けしている時一人だっただろう。あの時くらいしかない。こうやって一人にさせれば、お前が下りて行った時に、なんの気なしに出すかもしれない。ありましたって」という医師に、私はさらに驚愕しました。「ええ!?Nが!?あり得ないですって!」と、強く否定します。

疑う気持ちは微塵もありませんでした。確かにNには、彼氏と結婚したいけれど相手の収入面に不安がある、と打ち明けられたことはありました。でも、自分の収入もあります。正社員で働いている彼女が、そんな馬鹿な行動をとると思えません。

ふん、と鼻で笑い医師が姿を消しました。数分して、言われた通りに何気なく下へ戻り「あった?」聞いた私に、Nは首を横に振りました。

だよね、そうだよね。心の中で納得します。さらに時間が経ち、医師が下りてきて同じことを問います。首を横に振る私達。もう、帰りたい。時間は九時半を回っています。医師に目で問う。聞け、疑っているなら聞けと。

だが、雇用主として間違っていたらを思うと、その一歩が進めないのでしょう。ただ、無言で時間が過ぎていくことに痺れを切らしたのは、当然ながら私でした。「先生、私達を疑っている?」「まぁ、疑っていないといえばウソになるけど」と、もごもごという医師。

「調べるなら、脱ぎますけど」私もこのままでは帰れない。そう言うと、医師は私たちにお互いのチェックをするように言います。まずは私。鞄を開き、財布やポーチ、鞄のポケットまで。

Nが私のカーディガンや白衣のポケットにも手を入れます。「ないな。じゃ、Nも頼むわ」という言葉に、Nが鞄を開けていきます。私の時と異なり、ポーチや財布などを入念に開かせる。ない。やっぱりないじゃん!医師を恨みがましく睨むと、白衣を見ろと目で合図されました。

カーディガンの左右のポケットに両手を入れる。ない。そして、白衣のポケットに手をいれる。そのとき心なしか、Nが体をねじったのです。そして、右手に何かが触れました。

思わず掴み、ポケットから出します。灯りの消えた診療所。暗闇の中、受付の小さな光に照らされたのは、この長時間探し続けた7万円の札束だったのです。

「なにこれ!!」漫画のように、私は札束を女の顔に投げつけました。すでに両目から大粒の涙を流していたNを見ていられず、私は悔しさで溢れる涙と泣き声を抑えられずに、裏の倉庫へと逃げ出したのです。

 

5 金銭トラブルから学んだこと

どれほど泣いていたでしょうか。おそらく数分だったかと思います。悔しさの次に湧きあがった怒りを抑えられず、私は診療スペースに逆戻りしました。

私が泣き叫んでいた間に、医師は着々とNに念書を書かせていました。警察沙汰にはしない代わりに、今後一切この歯科医院には関わらないこと。

拇印を泣きながら押すNを見ても、怒りが収まりませんでした。「ごめんね、こっちも声を荒げちゃって。もうさ、これからはしっかりやんなよね」、そう私が務めて明るくいったのは、彼女のためではありません。

急に、お金を盗む女が逆上して、いつか夜の帰り道を襲われたらどうしようという考えた脳裏を横切ったのです。

現場に居合わせてしまった自分を身を守るための、唯一の防衛策でした。医師も同じ気持ちだったのかもしれません。逃げるように車で勢いよく去っていった女は、念書の通り二度と歯科医院に現れることはありませんでした。

確かに、Nと二人とも窃盗すること自体が罪となります。ただ、盗まれてもしばらくは分からないと言う金銭管理すべき立場の人間にも甘さがあることは間違いでもないでしょう。

会社では、金銭をネットで管理していたため、持ち出しをしていても最終的な経理報告をごまかせば、抜け道があるのも確かでした。

歯科医院では、レジに鍵もなく、誰でも会計を行い、医師もそこまで厳密なチェックをしていません。特に小銭は置きっぱなしが常でした。

その穴をつかれたのでしょう。同僚であれば同僚なりの、そして会社の経営者であれば部下が少しでも間違いを犯す気さえ起こらない万全の態勢を整えることも、お互いの企業努力なのかもしれません。

-お金に目がくらんで起こった事件

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