私は定年退職しましたが、とある会社の総務部長を長らく勤めていました。
それはさかのぼること2009年ごろの話でした。
この記事は、「古くなった会社のパソコンをオークションで売りさばいた部下の横領事件」について綴った実話です。
会社のパソコンを150台総入れ替え! ITに詳しい社員に一任する
WindowsXPのサポート終了を間近にして、たった一人のシステム部のA氏は会社のパソコン約150台をすべて交換しなくてはいけない為、大忙しでした。
A氏は平均年齢が高い社員の中でもITに関する知識が誰よりもあり、ITの知識がない私を含めた管理職はIT関係に関してはすべて彼を信頼していました。
パソコンの買い替えのため○○社のものはこうだけど□□社は○○社より安く済むなど、経理部長と、私との3人で2週間ほど毎日あれこれ相談をしていました。
結局一番安かったDELLのパソコンを購入することになりました。
そこでいったん私はA氏の手伝いから外れ1カ月ほど経ちました。
ようやくパソコンが会社に到着し業者による設置やセットアップも終了しました。
パソコンを新調したあと、新しいパソコンの講習会なども実施
新しくなったパソコンを前に戸惑う私たちのためにA氏はパソコン講習会を開いてくれました。
オリジナルの教材をわざわざ作ってくれ、私はこんな時しか役に立ちませんからといいながら、10教えて1も身につかない私たちに笑顔でパソコンを教えてくれました。
勤務時間の合間を縫って管理職に根気強く教えてくれたかいもあり、私たちはパソコンをそれなりに扱うことができるようになりました。
みんなA氏に感謝し、評判もとてもいいものでした。
決算の時期、経理より購入台数が合わないと訝しまれる
時は過ぎいよいよ決算の時期が迫ってきました。
すると、経理部長のS氏がやってきました。
ある部門の報告書を持っていました。
それはA氏一人のシステム部のものでした。
よく見てみるとパソコン購入台数が20台ほど多く周辺機器やソフトウェアの発注の数もなぜか必要な148台に対し20~30ほど多く発注されていました。
そこで私とS氏は一緒に倉庫に向かいシステム部のスペースを開けてみました。
するとそこには新規で購入したパソコンが5台、もともと使っていたパソコンが30台も置いてありました。
その事実を知った私はA氏にそれとなくパソコンの発注台数について尋ねてみました。
私:A君パソコンの件なんだけど古いパソコンは処分した?
A:そーですね。業者さんが持って行ってくれました。
私:そうなんだ。実はさ、倉庫の点検をしてたら古いパソコンが見つかってちょっと気になったものだから。
A:あっそれはデータ保存のために…
私:そうなんだ。ありがとう。
このようにA氏は余裕の表情で答えてきました。
処理費用がかかっているのに、パソコンが残っている
この時点で私は契約をしている顧問弁護士に相談しました。
すると、処理費用として148台分の費用が支払われているのに30台もパソコンが残っているのはおかしいと教えてくれました。
S氏がこの日このことを社長に報告しました。
すると、ほどなくしてA氏は顧問弁護士同席の上社長に呼び出されました。
2時間ほど話し込んでいました。
結局A氏は本当のことを話し退職することになりました。
A氏による事件の真相とは
A氏は新品のパソコンと、古いパソコンをオークションで売っていたそうです。
そこで得た100万円は会社への慰謝料を50万上乗せし、すべて返済すれば損害賠償請求や、訴訟は起こさないということになりました。
A氏は株で大きな損失を出していて、その穴埋めのためだったそうです。
現在A氏は退職し、150万を払い姿を消しました。
この失敗から学んだこと
今回は私を含めた管理職がパソコンの購入などのことに対してど素人であったことに加え、なによりA氏に任せきりだったことが問題だした。
それから、システム部はA氏一人で何でもできてしまう状況があり、発覚が遅くなってしまいました。
これからは必ずお金の大小にかかわらず複数人の目を通すということを徹底していきたいと思います。